レビューのようなもの

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第6回:キミとボクの距離


The Space Between Us | Official Trailer | Own it Now on Digital HD, Blu-ray™ & DVD

 

NETFLIXで配信中のSF映画。日本未公開作品。

 

民間企業主導による火星入植計画によって宇宙へと旅立った宇宙飛行士たちだったが、そのスペースシャトルの中でチームリーダであった女性飛行士の妊娠が発覚し、火星到着後まもなく彼女は男の子を出産して死亡してしまう。

この前代未聞の事態は企業の上層部の決定によりすべて隠蔽されてしまい、生まれた子供の存在は現地の宇宙飛行士を含む一部の人間にしか知らされなかった。

16年後、立派に育った少年・ガードナーはハッキングによって母親の情報を取得し、そこに不明だった自身の父親らしき人物の姿を発見する。さらに情報を探るため利用したネットを通じて地球に住む少女・タルサと親しくなり、意気投合する。

火星で彼の母親代わりとなっていた宇宙飛行士・ケンドラは優秀な彼を地球で生活させるべきだと企業へ訴えるが、地球の重力下で生活する為にはリスクの高い手術を行う必要があるため退けられる。しかし地球で父親を探す為に強い意志を見せるガードナーを、ケンドラは自分と一緒に秘密裏に地球へ連れていく。

地球に到着したガードナーは手術を受ける為に収容されていた施設を脱走してタルサと出会い、僅かな手がかりから彼女と2人で父親を捜す旅をする。

 

 

特殊な経歴で世間知らずの少年と天涯孤独で捻くれた少女のロードムービーで、判り易いテーマと爽やかな終わり方で気持ちよく観れる良作だが、どうやら本国アメリカではすこぶる評判が悪いらしい。

すこし安っぽさが垣間見られる特殊演出などにその一端が表れているが、一番納得のいく理由としては、この作品が非常に「アニメっぽい」からだと思われる。

 

この作品を観終わった時の率直な感想は、「これをそのままアニメ化したら面白いだろうな」であった。

 

宇宙で生まれ育った美形の天才少年と勝気でぶっきらぼうだがおせっかい焼きの少女、ドンパチやカーアクションも無く、良くも悪くも山場に乏しい展開や王道の泣かせパターンといった要素は、ハリウッド映画として鑑賞すれば確かに物足りなさを感じるかもしれない。

しかし、感動系のアニメ映画として捉えた場合、これらの要素は好意的に解釈できるように感じる。特にタルサのキャラクターはアニメのヒロインとして非常に優秀で、ガードナーの対等な友人であり、時には彼の手を引き導く姉のような振る舞いを見せ、旅の中で恋愛関係に発展する。ひねくれた言動も実にアニメ的で、媚の無い態度が好印象なヒロインだ。

そのため、アニメに親しみの無い人が見ればつまらなく映ってしまうのかもしれないが、普段からアニメ的な要素に慣れている人にとっては違和感無く楽しめるだろう。

 

名作かと問われると言葉が濁るが、決して駄作ではない。

難しいことを考える必要もなく、暇な時や寝る前にサラっと観られる作品なので、一度興味本位で観てみることをオススメする。